表面粗さ評価基準の違いとは?「16%ルール」と「最大値ルール」をわかりやすく解説 | 株式会社旭研磨工業所 技術ブログ
- 株式会社旭研磨工業所
- 7月18日
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更新日:8月6日
表面粗さの評価基準「16%ルール」と「最大値ルール」とは?
※本記事は2024年3月1日に公開した内容をもとに、加筆・再構成したものです。
製品の品質や信頼性を確保する上で重要な「表面粗さ(表面仕上げ)」。中でも、Ra(算術平均粗さ)やRz(最大高さ)といったパラメータを使った評価において、「16%ルール」と「最大値ルール」という2つの評価基準が存在します。
表面粗さとは?
表面粗さ(Surface Roughness)とは、製品の表面にある微細な凹凸の度合いを表す指標です。加工面の滑らかさや摩耗性、密着性、外観品質などに影響します。
主なパラメータ:
Ra(算術平均粗さ):平均的な凹凸の大きさ。一般的な粗さ評価に多く使われます。
Rz(最大高さ):最も高い山と最も深い谷の差の平均値。
表面粗さの評価基準「16%ルール」とは?
16%ルールは、表面粗さのパラメータが図面や仕様書で上限値または下限値のみが指定されている場合に適用される評価方法です。
▶ 上限値指定の場合(例:Ra ≦ 1.6μm)
粗さが最も大きく見える箇所を測定。
評価長さ内を複数の基準長さに分割し、それぞれでRaやRzを算出。
そのうち、上限値(例:1.6μm)を超える割合が16%以下であれば合格。
▶ 下限値指定の場合(例:Ra ≧ 0.8μm)
同様に、下限値を下回る箇所が16%以下であれば合格。
特徴
加工バラつきや自然な誤差を考慮できる。
実用性が高く、量産品や部品の評価に多く用いられる。
職人の手作業でのバフ研磨作業や一般的な表面処理の多くで採用
表面粗さの評価基準「最大値ルール」とは?
最大値ルールは、図面や技術仕様書で粗さパラメータの最大値が厳格に指定されている場合に適用される評価方法です。
▶ 評価方法
測定面全体において、すべての基準長さでRaやRzが指定の最大値を超えてはいけない。
1か所でも超過があれば不合格となります。
特徴
より厳格な品質管理基準。
航空機部品、金型、先端技術機器など高精度が求められる製品に適用される
全数管理の出来るコンピュータ管理された自動研磨処理機や金型研磨処理企業で採用
「16%ルール」と「最大値ルール」の比較表
評価基準 | 内容 | 合格条件 | 主な適用例 |
16%ルール | 上限/下限値の参考値を用いた許容評価。加工ばらつきを考慮。 | 要求値を超える(または下回る)割合が16%以下 | 一般部品、実用重視の製品など |
最大値ルール | 図面で指定された最大値を絶対に超えてはならない評価。 | 測定値のすべてが指定値以下であること | 高精度加工、航空機、金型など |
どちらを採用すべきか?
16%ルール:実用性重視、許容範囲を持たせる柔軟なルール
最大値ルール:全数管理、厳格な品質要求に対応
選定の視点 | おすすめの評価方法 |
加工バラつきを許容したい | 16%ルール |
安定的な品質重視 | 最大値ルール |
高精度が求められる部品 | 最大値ルール |
コストパフォーマンス重視 | 16%ルール |
「16%ルール」と「最大値ルール」は、表面粗さを評価する上で代表的な2つの手法ですが、製品の用途、使用環境、信頼性要件、加工コストなどを踏まえて適切なルールを選択することが重要です。どちらが正しいということではなく、製品の用途と目的に応じた使い分けが重要です。最適な評価基準を選定することが製品品質の安定化につながります。
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